沿線のご案内

■覚東線編（東野川の巻その2）

　　前田コマ＆坂田悟朗のご両人による覚東線沿線案内第２弾です。覚東線最大の謎？である覚東車庫の場所がついに明らかになるほか、耳寄り情報満載？です。おかげで随分長くなった上、住所の上では和泉本町にまで侵略？しちゃいましたが、お許しを。
　では、ごゆっくりどうぞ。

「悟朗はん、やっと乗れたなあ。わーい、チンチン電車や！」
「コマはん、あんまり大きい声出しな。それより左手に交番が見えるやろ。『小覚交番』や。」
「変わった名前やなあ。そしたら大覚交番もあるんか？」
「ちゃう、ちゃう、小は小足立の小、覚は覚東の覚やねんて。」
「ふうん、昔の地名の名残やね。」
「今度は右見てごらん。薬の『平和堂』、その先が『鯉寿司』。『平和堂』では以前深大寺蕎麦の乾麺を安うに売ってた。『鯉寿司』も味、値段ともまずまずやな。」
「また蕎麦の話か。あれ、もう止まったで。」
「ここが覚東車庫電停。ほら、左手に車庫があるやろ。」
「あれって『すかいらーく』の駐車場とちゃうの？」
「よう見てみ。線路が伸びてるやろ。」
「わっ、ほんまや！車道と歩道を突っ切って店の裏側まで線路が続いてる」
「なかなか車庫用の土地が見つからんので、とうとうここを間借りしたらしい」
「車庫の間借りなんて聞いたことないで。そんなことしたら車に邪魔やで」
「そう思うやろ。それに外やと雨に濡れるから、線路を厨房まで伸ばして車両はそこへ入れてるらしいで」
「そんなアホな」
「細かいことは気にするな」
「気にするわ」
「ほら、発車した。『すかいらーく』の先にコンビニ『ファミリーマート』、その裏をずっと行くと狛江第五小学校。さらに行くと『お湯どころ野川』。最近流行のスーパー銭湯や」
「なんやそれ、スーパーマンが風呂はいるんか」
「ちゃうちゅう、お湯の種類がたくさんあって、ジェットバス、サウナ、露天風呂などの設備もついた、ヘルスセンターみたいな銭湯のことや」
「ヘルスセンターって、あんたも古い言葉使うなあ。まあええけど、そらすごいなあ。行ってみたいわあ」
「あかん、あかん。また覚東線から離れてもうた。右側にまたも蕎麦屋『さらしな狛江店』。 ここもオーソドックスな細麺でなかなかうまい」
「あああ、じんましん出てきた」
「そうか、君、蕎麦アレルギーやったな」
「今ごろ言うても遅いわ。あ、暑い…」
「コラコラ、アレルギーになったらあつなるんかい」
「細かいことは気にするな」
「気にするわい！」
「それより、今さっき橋みたいなもん見んかったか？」
「おお、よう気い付いたな。今通ったのが御台橋や。もともとこの橋の下に野川が流れてたんやけど、たびたび洪水を起こすんで、今の所へ移動させて、元の野川は『野川緑地公園』になった。桜をはじめ四季折々の草木がたくさんあって、ま、言ってみれば市民の憩いの場やな」
「わても憩いがほしい…」
「おいおい、大丈夫か。その先左側に『ポニー・ドール』。昔懐かしい素朴なタイプのケーキがいっぱいでなかなか捨て難い」
「うわ、ケーキやったら好きやで。いっぺんに元気出てきた」
「単純なやっちゃな。今度は右見てみ。古本屋があるやろ」
「店の名前が『ふる本屋』やて。そのままやんか」
「元はGSやったらしいで」
「あそこでタイガースが歌うてたんか」
「ちゃうちゃう、グループサウンズやなくてガソリンスタンドがあったんや」
「なーんや」
「おっと今度は左、クリーニングにビデオ・ダビング・サービスも受け付ける『島田青果店』、それから『きもの処佐吉』。遠方から車で来はる客もけっこういるらしい。と言うてる間に御台橋電停や」
「蕎麦アレルギーに加えて左右キョロキョロしてたら疲れてきた。それにしても停留所の間、短いなあ」
「京王・小田急バスの御台橋の停留所は互いに離れてるんや。そこで成城学園方向の停留所あたりが覚東車庫電停、調布方向の停留所あたりが御台橋電停になったんやな。覚東線を誘致しはった人のアイデアらしい」
「誰や、その人」
「何でも交通局では奉行と呼ばれてるらしい」
「へええ、カッコよさそう！」
「きっとちょんまげ結うておしろい塗って裃着て籠で通勤してはるんやろな」
「そらバカ殿やろ」
「そうかもしれん。今度は右に『豆のたなか』。おやつにおつまみに、まあすごい種類やで。その先の奥にある『プロハンズ・あいづや』もええで。園芸用品、工具の類は品数豊富、いちいち『ユニディ』まで行かんでもまあ用は足りる。店のおばさんも親切やし」
「なんでそんなことわかるねん」
「この前息子連れて行ったらチョコレートくれた」
「それはええけど、あんたの息子まだ２歳やで。チョコレートは早いんちゃう？」
「そう思うて自分で食べた」
「やらしい人やなあ！」
「細かいことは気にするな」
「気にするちゅうに！」
「まあまあ、今度は左手に写真屋『パレットプラザ』、４５分で写真ができて便利。その先は宅配ピザの『ピザハット』。それから、ここからは見えへんけど、奥に内科・小児科の『藤川医院』。うちのホームドクターみたいなもんや。いかにも町医者さんという感じの先生で大病院にない気安さがあるなあ」
「安心して病気になれるなあ」
「そうそうって、なんでやねん」
「交差点で止まったで」
「ここもいろいろあるで。右側にスーパー『京王ストア』。『いなげや』ほど目立たんけど、ときどきお買い得商品があったりするからあなどれん」
「左側は？」
「交差点角に豆腐の『越後屋』」
「ふっふっふっ、そなたもワルよのう」
「コラコラ、水戸黄門の悪代官とちゃう」
「いまどき珍しい町の豆腐屋さんて感じやな」
「そうそう、思わずボール持って買いに行きたくなるな」
「ボール持って行ってどないすんねん。店の人にぶつけるんか」
「アホか、料理に使うボールやがな。その先はエビスビールが呑める居酒屋『大政』。そのまた先に狛江第一中学校、さらに行くと市民グランド。その向かいの住宅街がいわゆる『コマリーヒルズ』や」
「ほうほう、わたしみたいなベッピンさんがいっぱい住んでるんか」
「あんたが住んでるんはお化け屋敷やろ」
「まあ失礼な！」
「クリスマスのイルミネーションが見事なんで、そう呼ばれてるんや
「あ、それならうちもやってるで。夏になったら破れた提灯に火いつけてぎょうさん家の前に吊るしとくんや」
「やっぱりお化け屋敷やないか！」
「まあ細かいことは気にするな」
「気にするわい！信号越えたここが和泉狛江消防署電停。右にかの有名な『牛骨ラーメン・まことや』。わしはここの「ネギバカ」が大好きやなあ」
「ハハハ、あんたにぴったしや、バカやて」
「あんたに言われたないわ」
「なあなあ、いっぱいしゃべったらおなかすいた。ここで降りてラーメン食べよ」
「そうか、あんた、ラーメンやったら大丈夫やったな。しゃーけど、まだ先があるで」
「えー、そんな殺生な」
「『まことや』の先にはフラワーショップ『からまつ草』、その先に中華の『丸仲』、さらに行くと左手に『狛江ゴルフ倶楽部』」
「なんか急にスピード上げたんとちゃう？また目え回ってきたで」
「この辺はわしもよう知らん店が多いからな。それにふくふくさんやさかぼんさんがちゃんと案内してくれてはるから大丈夫や。さ、松原電停に着いたで」
「もうあかん、おなかペコペコ」
「頑張れ、あと少しで終点や。とりあえず枝豆アイス食べとくか」
「はいな」
「あ、狛電ガールの松原和泉ちゃんや。和泉ちゃん、和泉ちゃん、アイス２つちょうだい」
「売り切れました」
「またかいな！どういうこっちゃ、責任者出てこい！」
「あんた、あんた、興奮したらあかん、和泉ちゃん怒らせたら巫女パワーで生贄にされてまうで！」
「そら大変や、ごめんちゃい」
「ええ加減にしなさい」
「ほな、サイナラ」
（以上狛五郎）