沿線のご案内

■松原交差点〜覚東（その２）

松原交差点を出た覚東線は、緑色のマッチ箱を立てたような妙な家の前を通り過ぎていく。ここは一度テレビで紹介されているのを狛江署刑事課の給田警部補は見たことがある。何でも道路拡張の地上げを食らった時に、元からこの土地でレンタカー業を営んでいたこの家の持ち主が固定客と駐車場確保の関係でこの土地を動けないと揉めた結果、残された敷地に無理矢理いまの家を建てたと言うことだった。テレビで見たときには、トイレまで収納式になっていて、人間の知恵に感心させられた物だ。

右手にカーディーラーなのか修理工場なのかよく分からない「イイダモーターズ」の看板が見えてくると、狛江消防署電停が近づいてくる。角に花屋とと思われ店が見えるとその隣は「牛骨ラーメン　まことや」である。何でも脂の量を薄い・普通・濃いと注文できるほか、スープのベースも選べるし、トッピングまで頼めるという。つまりは自分の好きなラーメンを注文できるわけだ。おまけに替え玉まで有るというのだから、給田の息子あたりににはちょうど良い店と言えるだろう。この馬鹿息子はとにかく食うのである。給田は息子を思いだしてちょっとブルーになってしまった。ふと見ると交差点の向かいは京王ストアだ。はて、なんでこんなに電停に長くいるのかと思えば、枝豆線１号線を待ち合わせていたのだ。一中通りをやってきた枝豆線は乗り換えの客が互いの車両を移動する間中、その「腕」で覚東線の頭を「撫でて」いるのである。給田にはこの作業の技術的な意味がさっぱり分からない。もしかすると、スキンシップ？

乗り換えも済み、覚東線は交差点を越えた。右手に比較的新しい写真屋が見える。すこしずつ店も変わってしまうなぁ・・・等と感慨に浸っていると、御台橋商店街はさして変わった様子もなく、昔と変わらない店が並んでいて、ちょっとほっとする。「豆のタナカ」を過ぎたあたりで御台橋電停である。御台橋商店街は実は、この先のかつてガソリンスタンドがあって今は古本屋に変わってしまった角を西野川側に入った方向に もう少し延びている。

この電停を過ぎると右手に「すかいらーく」が見えてくる。確かこのすかいらーくの裏手に酒屋がひとつ有った。昔はかなり汚い店だったが、改装してずいぶんとおしゃれな酒屋に変身したようだ。未だはっきりしない謎は覚東車庫の場所だが、どうやらこのファミリーレストランの駐車場を使っているという話がある。あくまで噂だが。刑事がこのような噂を信じていてはしょうがないのだが、給田警部補は実はかなり噂好きだったりする。まてよ、覚東車庫は手前のファミリーマートの駐車場だったか・・・どちらだったかハッキリしない。

覚東車庫電停を出ると、右手に交番が見えてくる。この手前の「岩田動物病院」は結構古くからの開業医で、なかなか良心的な治療で知る人ぞ知る名医なのではないかと給田は思っている。給田の知り合いの飼っていた猫が車にひかれたとき、緊急手術後一晩寝ずに看病したあげく、持ち直すことなくあの世に旅立った猫の事を涙ながらに飼い主に報告したという。給田はこの手の話の弱い。思い出しながら目を潤ませていると、終点覚東電停に着いてしまった。覚東電停脇にはスーパー「いなげや」があり、その前にある酒屋の「ＡＭＥＹＡ」はこれまた古くからここで酒を扱っている。昔はここで「土屋酒造」の酒も扱っていたのだが、最近は置いていないようだ。土屋酒造はこの狛江に有る造り酒屋で世田谷通りの新一の橋を奥に入った所にある。ここの酒は結構給田の好きな酒だったのだが、今は枝豆線で喜多見まで出て喜多見駅前の酒屋で買っている。その並びで仙川よりに「アイホップ」というファミリーレストランがある。入ると天井を高く取り、ゆったりしたスペースの店で給田は結構気に入っている。電停を降りて、町の自警団が消防ポンプをしまっている車庫らしき建物を過ぎ、第一勧業銀行に通帳の書き換えに来た休日の給田警部補だった。

<<ここに登場する狛江署は妄想の産物です。当然狛江署の警部補も妄想の中の人です。何の事だか分からないぞ！と言う方は、この交通局のトップページから小説のページに降りてみて下さい。>>

ここまで（給田警部補 = SockerBon）