DQN架空鉄道探訪シリーズ

ばか鉄道

量感のある山岳地帯を抜けて、列車はなだらかな下り坂をゆっくりと進み、乳白色の景色の中で停止する。
「ハラノウエ〜、ハラノウエ〜」
「…へんな駅名」
「いいんだよこれで。原っぱのハラに上と書いて原ノ上なの。ありそうな名前だろ。それとも、ヘソノウエとかにする？」
「ヘンだよ。どっちでも変わらないよ」
「そうかなぁ。発車しま〜す」
　柔らかい起伏をトレースして、列車は進み、渓谷に向かう。
「揺れますのでご注意くださ〜い」
　彼の列車は草原地帯に入り、深い谷に向かって急勾配を下って行く。
「次の駅名、考えろよ」
「なぁに？」
「次の駅だよ、この先」
「…ばか」
「何だよー。次は終点、ばか〜、ばか〜」
「あはは、ばかみたい」
「まもなくばかに到着で〜す」
　列車は谷を下り、トンネルの入り口にさしかかる。
「あ…っ」
「…終点。ここ」
「ばか」